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この登録意匠権のデータベースは、意匠法が改正されたことに伴い 2020年4月1日以降、建築物および内装の意匠も意匠権の保護 対象となったことから、皆様に広く知って頂き理解を深めて頂く一助となればとの思いから登録開始時より約1年間にわたって該当する登録意匠をデータベース化し、適宜、更新してまいりました。
登録開始時より約1年が経過し、登録意匠の件数も大幅に増加してまいりましたことから、本データベースにつきましても一定の役割を果たせたものとして、本データベースの形式での更新はいったん停止させていただくこととなりました。
最終更新日(2021年12月8日)以降の登録意匠権のデータにつきましては、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」にてご確認ください。

建築物および内装の登録意匠権データベースについて

2021年2月26日


ご存じのように、意匠法の改正により、2020年4月1日以降、建築物および内装の意匠も意匠権の保護対象となったことから、同年10月から建築物と内装のいずれについても、順次意匠が登録され、意匠権が発生しています。
このため、今後は、以下のような対策を講じておく必要があります。


1.他社の建築物や内装の意匠権を侵害しないための対策

これまで建築物や内装の意匠については、著作権法において著作物に該当する場合や、不正競争防止法で周知な商品等表示となる場合など極めて例外的な場合にのみ、その無断利用に対する差止や損害賠償が認められてきました。そのため、ほとんどの場合は他社の建築物や内装の意匠との関係は気にしなくても問題にはなりませんでした。しかし、今後は、他社が意匠権を持っている建築物や内装の意匠と同一又は類似の建築物や内装を施工した場合には、たとえ偶然に同一又は類似の意匠となってしまった場合であっても、他社から意匠権侵害による差止や損害賠償の請求を受けるリスクがあります。その場合、意匠権者との関係で差止請求や損害賠償を受けるのは直接的には建築物の発注者ですが、一般的にはその設計や施工に携わったCMR(コンストラクション・マネジャー)、設計者、ゼネコンがその責任を負担することになります。被る経済的打撃も決して少額ではありません。中でも建築物の意匠権を侵害した場合には、差止請求によって、大規模な変更工事をせざるを得ない事態に陥ることも想定され、その場合における変更工事代金や建築物の利用制限による経済的損失は多額となることが予想されます。


そのような事態を避けるためには、CMR、設計者、ゼネコンあるいはデベロッパーなど意匠設計に関与する工事関係人が、事前に意匠登録されている他社の建築および内装の意匠を事前調査し、貴社の意匠との類否を判断し、他社の意匠権を侵害しない意匠設計を実施することが肝要です。


2.自社の建築物や内装の意匠を知的財産権として活用するための対策

また、逆に、貴社が設計している建築物や内装の意匠を貴社の知的財産権として確保することで、他社との差別化を図り、貴社の優位性を確保したいと考える場合は、特許庁に対して意匠出願をすることになりますが、出願する意匠が既に意匠登録されている他社の意匠権と同一又は類似する場合には登録されませんので、事前に同一又は類似の他社の意匠登録があるかどうかを調査し、検討しなければなりません。


3.本データベースの目的

本データベースは、そのような事前調査や検討に役立ててもらうために、当事務所で、建築物及び内装の登録意匠を一覧表に纏めたものです。
一覧表は、日本意匠分類を参考に、以下のカテゴリーに分けています。

 A 建築物

A-1 建物

ビルディング、オフィスビル、商業ビル、超高層マンション、タワーマンション、興行場、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、工場、ホテル、物流倉庫

A-2 組立て家屋

組立て家屋、住宅、マンション、共同住宅、寄宿舎、下宿

A-3 組立て店舗

ロードサイド店舗、組立て売店, 組立て店舗, 自動販売機用小屋

A-4 交通施設物

駅舎、空港ターミナルなど

A-5 組立て橋りょう

橋りょうなど

A-6 河川・海洋・港湾関連構造物

防波堤、ダムなど

A-7 ガスタンク、煙突、灯台など
A-8 送電通信施設物

鉄塔、電柱など

 B 内装


4.本データベースの活用方法

CMRや設計者などの工事関係人は意匠設計を行う際に、次の方法で本データベースを活用してください。
なお、本データベースは、更新の都合上、かならずしも貴社が製作しようとしている建築物や内装の意匠と同じカテゴリーの登録意匠のすべてを網羅しているものではありませんのでご注意ください。

(1)他社の建築物や内装の意匠権を侵害しないための調査・検討

①貴社が設計しようとする対象物の種類に沿って前記カテゴリーの中から該当すると思われる一覧表にアクセスする。

注)調査対象にするカテゴリーは1つとは限りません。例えば、建物の意匠設計をする際、外観だけでなくその内装も含める場合には、「A-1 建物(ビルディング・・・」以外に「B 内装」の登録意匠も検討する必要があります。

②一覧表の図面を参考にして、貴社の設計対象物と似ていると思われる意匠の登録番号をクリックし、その意匠公報を参照する。

③貴社が設計・施工しようとしている意匠と②の意匠公報を対比し、明らかに同一又は類似している場合は、非類似となる意匠設計に変更する。

④③で明らかに同一又は類似しているとまでは言えない場合は、貴社内に登録意匠との類否の調査、検討について専門的知見を有する者がいればその者の検討に委ね、いない場合には社外の専門家に調査、検討を依頼する。

注)登録意匠との類否の判断には高度に専門的な知見が必要です。意匠設計者など専門的な知見がない方が、本データベースによる調査などの簡単な調査・検討だけで、類否の判断をすることは危険です。

(2)貴社の建築物や内装の意匠を知的財産権として活用するための調査・検討

①前記①~③と同じ。

②貴社が設計・施工しようとしている意匠と参照した意匠公報を対比した結果、明らかに同一又は類似ではない場合は、「創作非容易性」(建築デザインの制作をする者にとって容易に創作することができるものではないこと)やその他の登録要件を満たしているかどうかを調査・検討する。この調査・検討は、貴社内に意匠出願の実務に精通している者がいればその者に委ね、いない場合には社外の専門家に依頼する。

注)これらの登録要件の調査・検討と③の出願は、高度に専門的な知見と実務経験が必要です。

③調査・検討の結果、登録要件を満たしている場合は出願をする。


5.利用上の注意

(1)本データベースは、あくまで貴社の建築意匠の制作のうえでの参考資料のひとつとしてご利用ください。

(2)本データベースは、貴社が製作しようとしている建築物や内装の意匠と同じカテゴリーの登録意匠のすべてを網羅しているものではありません。

(3)登録意匠との類否の判断や創作非容易性その他の登録要件の調査・検討には専門的な知見が必要です。貴社に専門的知見や実務経験を有する方がいない場合には、弁理士や弁護士に相談することをお勧めします。

(4)本データベースは建築物や内装の意匠を創作される方のために、前記事前調査、検討のために提供するものですので、それ以外の目的での使用や、改変・翻案等を行う場合は、当事務所の許諾を取って行ってください。


6.当事務所のサービス

なお、当事務所では、以下のサービスを提供することができますので、ご依頼を希望する方は当事務所までご連絡ください。

(1)貴社が検討したい建築物や内装の意匠と関連する意匠公報の入手

(2)貴社の建築物や内装の意匠と他社の登録意匠との類否の検討

(3)貴社がこれから設計・施工しようとする、あるいはすでにした建築物や内装の意匠についての意匠出願の事前調査及び出願

(4)他社の建築物や内装の意匠が貴社の意匠権を侵害していないかどうかの調査・検討

(5)貴社の建築物や内装の意匠が他社の意匠権を侵害していないかどうかの調査・検討

(6)他社との侵害クレームとの相談、代理

(7)その他、建築物や内装の意匠に関するアドバイス、調査・検討


7.本データベースの履歴・最終更新日

 開設日   2020年12月23日

 最終更新日 2021年12月8日