講演

本ページでは、講演に用いたPowerPointデータをPDFデータにして公開しております。
PDFデータをご覧になるためには、Adobe Readerが必要です。パソコンにインストールされていない方は、「Adobe Reader(無償)」のダウンロードし、インストロールしてご利用ください。

2023.03.23 CM協会関西支部法令部会セミナー

日本コンストラクション・マネジメント協会関西支部の法令部会セミナーとして、大阪産業創造館で、下記のパネルディスカッションを行いました。



「公共工事における募集要件、CМ契約の検討」


本セミナーは、近年、CM方式を導入して行われる公共工事について、実績例を取り上げるなどして、CM技術のスキル面を中心としたセミナー、講習などが行われており、公共工事におけるCMRの役割がますます注目されるところとなっているものの、公共工事におけるCMの法務面に着目したセミナー等は行われていないことから、法令部会として、地方公共団体の公共工事におけるCM事業者の参加資格要件とCM契約書に着目し、それらを検討することで、公共工事におけるよりよいCM契約の在り方を探ってゆきたいと考えて、本セミナーを企画したものです。。


パネルディスカッション

具体的には、私(弁護士釡田佳孝:CМ協会会員、関西支部監査)において、地方公共団体のサイトで公開されている過去の14件の公共工事の公告資料を収集し、募集要領等から参加要件を、またCМ業務委託書(案)等からCМ契約内容を調査することで、今後の公共のCМ業務(以下「公共CМ」といいます)を行うにおいて検討したい検討点5点を抽出し、下記のパネラーの方々にご意見、ご感想を頂きました。


【検討点】

検討点1 参加資格要件における実績要件
CM業務の実績要件についてどう思うか?

検討点2 全部委託/一部再委託/JV
CM業務の全部委託/一部委託/JVについてどう思うか?

検討点3 所属技術者要件と配置技術者の配置 所属資格者要件や配置技術者(管理技術者、主任担当者)の配置を義務付けていることをどう思うか?

検討点4 著作権
CМRが創作した著作物の著作権の取扱いをどう思うか?

検討点5 契約不適合責任
「契約の内容に適合しない」、「不適合」、「契約不適合」に関する規定、あるいは「成果物」、「出来形」に関する規定をどう思うか?


【パネラー】

日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
執行役員大阪代表  東 利彦 殿

明豊ファシリティワークス株式会社
執行役員CМ事業創造本部公共プロジェクト統括  古田 穣 殿

株式会社山下PМC
プロジェクト統括本部事業推進部門部門長1部部長  小倉 哲 殿

阪急コンストラクション・マネジメント株式会社
総務部課長  阪口明弘 殿

株式会社安井建築設計事務所
マネジメントビジネス部長ビジネス創造部部長  山田功次 殿


パネルディスカッション

私は、CМAJの契約約款・委託書や「地方公共団体におけるピュア型CM方式活用ガイドライン(令和2年9月国土交通省不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室)」・同「CM業務委託契約約款(案)」との比較において、過去14件の公共工事の参加要件、CМ契約(案)を検討したところ、概ね、各地方公共団体ではCМの趣旨・目的・役割の理解が不十分であるためか、CМ事業者に設計・監理契約における設計者あるいは工事請負契約における工事請負人に類した業務や責任を負わせるような参加要件、CМ契約(案)が多々ありました。
また、参加要件における所属資格者要件や実績要件のハードルが高いため、事実上一部のCМ事業者しか参加できない結果となり、公正・公平な競争が確保できていないのではないかと思われるものも散見されました。


パネルディスカッション

本セミナーでは、このような公共工事における問題点を検討点として取り上げてパネラーの方々に議論して頂いたのですが、実際に公共工事のCМに取り組んでいるパネラーの方々からは、CМAJや国交省ガイドラインでの考え方とは異なるところがあるものの、地方公共団体の技術者のCМに対する理解度の程度や実際に公金を使って行うプロジェクトであり失敗は許されないこと、建築プロジェクトの高度化・複雑さなどから、現状の参加要件・CМ契約(案)もある程度理解できるとの意見がありました。ただ、私が指摘するようなCМの理解不足からくる設計・監理契約における設計者や工事請負契約における工事請負人に類した業務や責任を負わせるような参加要件、CМ契約(案)については、CМの趣旨からはずれCМ本来の目的達成にとって障害となりえるものであるとの認識で一致し、今後は公共に対してあるべき公共CМの参加要件・CМ契約を提言してゆきたいとの共通認識を持つことができました。。

2023年3月23日 公共工事における募集要件、CМ契約の検討(PDF 2.3MB)


公共工事は、民間工事と異なり、CM事業者側の意向が反映しにくく、公共が提示する参加要件、CM契約(案)を前提とした受任となりがちですが、CM事業者側の方で公共担当者と粘り強く交渉することで、変更に応じるケースもあるようです。 今後は、公共工事におけるCMが本セミナーで取り上げた傾向があることを十分に理解のうえ、あるべき参加要件、あるべきCM契約を公共側に働きかけてゆくことが肝要と言えます。

以 上


2022.06.10 共著書「知的財産契約の実務 理論と書式」が発行されました。

私が共著者となった「知的財産契約の実務 理論と書式」(全3巻)が発行されました。


知的財産契約の実務 理論と書式

本書は、大阪弁護士会の知的財産法実務研究会所属の弁護士が執筆した契約類型ごとに実務に資する解説と多数の契約書例を収録した「特許編」、「意匠・商標・著作編」、「先端技術・情報編」からなる三巻本シリーズです。
知的財産法実務研究会では2007年6月に「知的財産契約の実務 理論と書式」(単行本)を商事法務より出版しており、本書はその全面改訂版といった「意匠・商標・著作編」の中の「建築設計関係図書に関する契約」の箇所分を執筆いたしました。
同箇所はコンストラクション・メネジメント契約や設計委託契約に基づいて作成する建築設計関係の成果物(建築設計関係図書)の一部あるいは全部を知的財産として捉え、知的財産としての保護を契約上どのように規律するかにつき契約書式を示して概説するものです。


ご興味のある方は、是非ご参考にしていただければ幸甚です。


➤ 著書・論文一覧


2022.03.30 CM協会関西支部法令部会 第111回CMAJフォーラム

日本コンストラクション・マネジメント協会関西支部の法令部会と同協会の第111回CMAJフォーラムとの協賛で、大阪産業創造館で、下記のセミナー(パネルディスカッション)を行いました。



パネルディスカッション「CM会社における法務」


参加者は、会場とネット参加を含め67名でした。


司会は、法令部会長渡邊博文氏(㈱昭和設計)が、山本隆彦氏(鹿島建物総合管理㈱)がコーディネーターを務め、私を含め次の方々をパネラーに迎えて行いました。

㈱アクア 取締役・専務執行役員 相良範浩氏
日建設計コンストラクション・マネジメント㈱ 取締役 古川伸也氏
㈱安井建築設計事務所 シニアエグゼクティブ ビジネス創造領域担当 水川尚彦氏
大和法律事務所 弁護士・弁理士 釜田佳孝

CM会社における法務

本セミナーでは、法令部会が事前にCM会社に対して行った次のアンケートのアンケート結果を紹介しながら、パネラーの方々に意見交換を行っていただきました。


アンケートによれば、次のとおりの結果になりました。
①法人CMRの規模

・CM専業の会社が9社中4社
・CM専業会社での社員数に対するCM資格者の割合は高い


②法人担当者・法務部門の位置付け

・組織内に独立した法務担当者・法務部門を設けている会社は少数で、総務部門等が法務的な相談を行う会社が最多数

・実際に法律問題を最初に相談する部署としてはトラブルの内容によって相談先が異なる会社が最多数


③法務担当者・法務部門の役割範囲

・標準的な契約書類の整備についてはほとんどの会社が社内標準版を使用しており、その作成や更新、履行状況の確認についてはCM業務等担当者が行う会社が最多数

・契約に関する相談についてCM業務担当者が助言するかどうかは、技術的事項の範囲で助言を行っている会社と技術的事項の範囲を超えた相談であっても必要とあれば助言を行っている会社に二分された

・CM業務担当者が判断できない場合の対応は、社内の法務専門担当者や顧問弁護士に相談する等会社によって様々


④法務担当者・法務部門で取り扱ったマター

・各社において取り扱った法務マターは特定のフェーズではなく全般に散らばっている


パネルディスカッション

⑤法務担当者・法務部門として関わったトラブル事例

・設計者から発注者への伝達不足による施工仕様の相違に関するトラブルに関わったことがある


私は、基本的に聞き役に回り、折々に弁護士の立場からの意見を述べ、またCMに関する裁判例やCM会社から頂いた質問について解説しました。


2022.03.14 著書「建築における知的財産権の保護と動向」が出版されました。

私が著作した「建築における知的財産権の保護と動向」が一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会」から出版されました。


建築における知的財産権の保護と動向

本書は、一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(CM協会)関西支部の法令部会が、2021年3月2日に、大阪産業創造館で開催したセミナー「建築における知的財産権の保護と動向-改正意匠法における建築物と内装の意匠権を中心として-」の基調講演とパネルディスカッションの内容を小冊子にしたものです。


同セミナーは、法令部会において、2020年4月1日から施行された改正意匠法で建築物・内装の意匠登録出願が可能となり、これまで知的財産権としてはせいぜい著作権か不正競争防止法による保護しか及ばないとされていた建築デザインについて、意匠権でも保護が及ぶことになったことから、今後、発注者(施主)、CM会社(コンストラクション・マネジメント会社)、設計事務所及び施工会社が改正意匠権にどのように取り組んでゆくかを検討する契機を提供すべきと考えて、開催されるに至ったものです。


本書の構成は、次のとおりです。
【基調講演】

1.建築デザインにおける知的財産権の保護
1-A 著作権による保護
1-B 不正競争防止法による保護
1-C 産業財産権による保護

2.改正意匠法による建築物と内装の保護
2-A 概要
2-B 建築物と内装の意匠登録件数

3.改正意匠法とCMR、設計事務所、ゼネコンにおける建築デザインへの影響
3-A 侵害のリスク
3-B 侵害のリスクヘッジ
3-C 権利化によるメリット

【パネルディスカッション】

1.パネラーとコーディネーターの紹介

2.登録意匠権の概観と感想

3.建築物や内装の意匠権にどう取り組むか

4.侵害のリスクヘッジ策

①CMR(コンストラクション・マネジャー)の善管注意義務はどうなる

②意匠設計者(CMR、設計事務所、ゼネコンなど)や施工者(ゼネコンなど)は第三者の権利侵害の責任をどうする

③発注者(施主)に責任はあるのか

④侵害の場合の解決策

5.権利化で差別化、優位性は獲得できるのか


建築における知的財産権の保護と動向

本書は、同セミナーで多くの方が改正意匠法と今後の建築デザインの在り方について強いご関心をお持ちであることが窺えましたので、CM協会や関西支部において、建築デザインに関係する方々の一助になればと考えて、本セミナーの内容を書籍化したものです。


本書籍は、冊子及びkindle版が発売されております。
冊子のご購入につきましては、(一社)日本CM協会関西支部事務局(e-mail:kansai@cmaj.org)にお問い合わせ下さい。
Kindle版(電子書籍)につきましては、Amazonにて販売中です。


➤ 著書・論文一覧


2022.03.14 大阪府建築士事務所協会セミナー

大阪府建築士事務所協会の講習会として、大阪府建築健保会館で、下記のセミナーを行いました。



「建築デザインと改正意匠法」


本セミナーは、昨年3月にCM(コンストラクション・マネジメント)協会関西支部法令部会が開催した改正意匠法と建築デザインに関するセミナーに参加された建築士事務所協会の法規相談委員会副委員長の吉田賢一建築士が、建築士事務所にも改正意匠法の影響を周知させたいとの意向から、実施されるに至ったものです。


本セミナーは、概ねCM協会のセミナーをベースにしていますが、同セミナー以降の建築物や内装の意匠登録の件数、出願人の内訳、登録意匠図面の紹介といった最新の動向に加え、商標法による立体商標として建築物を保護することも紹介しています。


本セミナーは、対面とウェブ配信のハイブリッド方式で行われました。質疑応答で、参会者からは、意匠登録のコストはどの程度か、建築されていない意匠についても意匠権を取ることができるのか、意匠権のライセンス料はどのくらいか、意匠権侵害の場合の損害リスクといった質問がなされました。また、CM協会のセミナーのときと同様に、意匠登録されたデザインの中には公知やありふれたデザインのものがあり、どうしてそのような意匠が登録されるのかといった疑問もでました。これについては、特許庁の審査で既に新規でないものや創作容易な意匠についても誤って登録されることがあるが、その場合は無効審判という手続を取ることで登録意匠を無効にすることができることを説明しました。


これまでの出願動向から窺う限り、事業主、ゼネコン、ハウスメーカーには積極的に意匠出願をして意匠権の活用を図る動向が窺えますが、意匠設計を行う建築士事務所にはそのような動向は窺えず極めて低調です。建築物や内装のデザインを創作する建築士事務所こそ、改正意匠法を積極的に活用して、知的成果物である建築デザインの価値を高めてゆくことが今後の建築士事務所の発展につながると言えますので、今後は積極的に意匠権を活用されることを期待します。

2022年3月14日 建築デザインと改正意匠法(PDF 4.2MB)


2021.03.02 CM協会関西支部法令部会セミナー

日本コンストラクション・マネジメント協会関西支部の法令部会セミナーとして、大阪産業創造館で、下記の基調講演とパネルディスカッションを行いました。



基調講演「建築における知的財産権の保護と動向           
     ~改正意匠法における建築物と内装の意匠権を中心として~」
パネルディスカッション「建築物と内装の意匠権にどう対応するか」


大阪府の新型コロナの緊急事態宣言は直前の2月末に取り消されたばかりでしたが、会場には30名ほどが出席され、またネット参加は100名を超え、本セミナーのテーマへの関心の高さがうかがえました。


このセミナーでは、まず、私が「建築における知的財産権の保護と動向~改正意匠法における建築物と内装の意匠権を中心として~」と題して、令和元年の意匠法の改正により取得可能となった建築物と内装の意匠権を中心に基調講演をし、パネルディスカッションではデベロッパー、CM会社、設計事務所の方をパネラーに迎え、「建築物と内装の意匠権にどう対応するか」についてディスカッションしていただきました。


基調講演

私の行った基調講演内容は、⒈建築デザインにおける知的財産権の保護、⒉改正意匠法における建築物と内装の保護、⒊改正意匠法とCMR、設計事務所、ゼネコンにおける建築デザインへの影響についてです。


⒈では、建築デザインは知的財産権法下でどの程度保護されてきたかについて、著作権法による保護、不正競争防止法による保護、産業財産権による保護の内容を説明しました。端的に言うと、著作権法、不正競争防止法で保護される建築デザインは一部に過ぎず多くの建築デザインは保護対象となっていませんでした。産業財産権についても、特許法や実用新案権法は技術思想としての発明が保護対象ですので建築デザインそのものを保護対象としていません。商標法では店舗等の外観や内装も立体意匠として商標権を取得できますが、識別力のあるものに限定され、建築デザインそのものを広く保護するものではありません。これに対し、改正意匠法は建築デザインそのものを保護対象に加えたので、今後は意匠登録による建築デザインの独占が認められることになり、発注者、設計事務所、ゼネコン、CMRの事業活動にも影響がでてくるというものです。
⒉は、特許庁作成のスライド資料を使って改正意匠法による建築物と内装の意匠権の内容とその出願手続を説明し、2021年2月時点までに意匠登録された建築物と内装の意匠権の内訳を説明しました。
⒊は、改正意匠法により、CMR、設計事務所、ゼネコンに発生する第三者の匠権を侵害するリスクと、自らの建築デザインを意匠登録することによるメリットについて説明するものです。

2021年3月2日 建築における知的財産権の保護と動向(PDF 7.7MB)


次に行われたパネルディスカッションは、⒈登録意匠権の概観と感想、⒉建築物や内装の意匠権にどう取り組むか、⒊侵害のリスクヘッジ策、⒋権利化で差別化、優位性は獲得できるのかについてのディスカッションでした。


パネルディスカッション

⒈では、高層建築物、戸建て住宅、ロードサイド店舗、駅舎、内装について登録された意匠権の公報をいくつかピックアップしてパネラーや参加者にご覧いただきました。概ね、短期間でこれほどの建築デザインが登録されていることと、デザインの独創性がそれほど高度でないものも登録されていることについて驚かれたようです。
⒉では、デベロッパー、CM会社、設計事務所の立場で、各社どのような取り取り組みをしているのか、対策や方針が決まっているのかを議論しましたが、いずれも具体的な対策、方針までは決まっておらず、現在各社とも検討中であるとのことでした。
⒊では、意匠権侵害の場合の法的リスクを説明のうえ、各社のご意見を伺いましたが、これもまだ検討中であるが、具体的なリスクヘッジ策を講じておく必要があることについては一致しておりました。CMRやデベロッパーは自ら建築デザインを創作しない場合でも、善管注意義務の観点から、プロジェクトの建築デザインが第三者の意匠権を侵害していないかどうかの事前調査は行わせておくべきでしょう。
⒋については、発注者、設計者、ゼネコン、CMRそれぞれの立場から、自社の知的財産としての活用をどうするか、活用の効果はあるのかについてディスカッションしていただきました。総じてパネラーの方々は意匠権を取得することによるメリット面があるとの認識でした。

2021年3月2日 建築物と内装の意匠権にどう対応するか(PDF 6MB)


発注者、設計者、ゼネコン、CMRだけでなく、完成した建築物や内装を利活用する方々にとって、建築物と内装の意匠権の問題は避けては通れないものであることは間違いありません。
関係する方々には建築物と内装の意匠権をうまく活用していただき、建築デザインの発展に資するものとなれば幸いです。


2020.10.17 神戸市すまいるネット連携セミナー

神戸市から委託を受けた(一財)神戸すまいまちづくり公社が運営する「すまいるネット」と(一社)日本リノベーション・マネジメント協会が協賛・連携するセミナーで、岡廣樹建築士と私が下記の講演を行いました。



価格開示方式によるマンション大規模修繕『マンションセミナー』

神戸市すまいるネット 「マンションセミナー」パンフレット(PDF 2.3MB)


当日は、新型コロナの影響で座席数を約半数の20名程度に制限しましたが、マンションの管理組合の関係者などが来場されほぼ満席となりました。


このセミナーでは、まず、私が「大規模修繕工事のコンプライアンス」について、続いて岡建築士が「価格開示方式によるマンション大規模修繕工事」について講演しました。


私の行った講演内容は、マンション大規模修繕は、管理組合が行う業務として大変重要なものであること、企業や団体と同様に管理組合の行うマンション管理でもコンプライアンスが求められていることを説明し、大規模修繕におけるコンプライアンス遵守のために気を付けなければならないポイントとして、①建築工事関係法令を遵守した工事がなされているか、②施工業者に施工能力(技術力、経済力)があるか、③工事費目が適切か(不必要な工事が含まれていないか)、④コストが適切か(手抜き工事が行われていないか→過剰なコストとなっていないか、低廉すぎるコストとなっていないか)の5ポイントを指摘し、最後に(一社)日本リノベーション・マネジメント協会が取り組んできた価格開示方式等の概要を説明するといったものです。
また、岡建築士が行った講演は、同協会が実践している価格開示方式によるマンション大規模修繕の方法を具体的に説明するものです。


神戸市という土地柄からか、参加者の方々は皆熱心に聴講され、質問もあり、活発で有意義なセミナーを実施できたのではないかと思います。

2020年10月17日 大規模修繕工事のコンプライアンス(PDF 4.2MB)


2020.01.29 日本CM協会関西支部法令部会主催セミナー

一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)関西支部法令部会主催の下記セミナーがグランフロント大阪で開催されました。



「気になる新民法(債権法)と意匠法改正とCM業務」


当日は、建築会社、建築関連団体、大学関係者、CM関連企業、設計事務所、デベロッパーなど約50名の方が参加されました。


このセミナーでは、私がCM業務を行うにおいて必ず押さえておかなければならない新民法のポイントと、建築分野にまで保護範囲を拡げた改正意匠法を説明し、現在改定中である業界の約款の改正動向を山本隆彦氏(鹿島建物総合管理)に説明していただきました。


ここでは、私が担当した新民法と改正意匠法の概要をお知らせします。

2020年1月29日 気になる新民法(債権法)と意匠法改正とCM業務(PDF 0.7MB)


今年の4月1日から、新民法(債権法)と改正意匠法が施行されます。
CM業務との関係で押さえておきたい新民法と改正意匠法のポイントは次のとおりです。
受講者は本講習を受講し終了考査で合格することでそれらの資格を取得することができます。


A.新民法で押さえておきたいポイント
1.委任契約(CM契約は準委任契約と解されており、委任警句の規定を準用します。)

①CM業務が契約の履行途中で終了した場合に割合的報酬がもらえる場合を拡大させました。

・CM業務が契約の履行途中で終了した場合(契約が解除された場合など)、旧民法ではCM会社に帰責事由がある場合はそれまでに行った業務の割合に応じた報酬はもらえないが、新民法ではもらえるようになりました。

・この点、現在の一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(CM協会)の約款では、CM会社に帰責事由がある場合や、発注者都合による解除の場合には、割合的報酬がもらえないことになっているので、CM会社としては新民法に沿った契約をすべきです。

・発注者に帰責事由がある場合は、原則として、報酬の全額が請求できます。

②成果型の委任契約が法文上明確にされました。

・成果に対して報酬を支払うといった事務も委任契約の一類型となることが明確になりました。

・このため、従来、法的性格が準委任契約なのか請負契約なのか議論があった設計業務委託契約についても、準委任契約と解される可能性が高くなりました。

・成果報酬を取り入れたCM契約(例えば、アットリスクCM契約)は、この成果型の準委任契約と解されると思われます。

③委任契約の自由な解除権(任意解除権)が制約された。

・旧民法では、契約当事者は「相手方に不利な時期に解除した場合」以外は損害賠償義務がないので、発注者は「相手方に不利な時期」でない場合は自己都合による自由な解除ができました。しかし、新民法では、それに加えて、発注者は「受任者の利益(もっぱら報酬を得ることによるものを除く。)を目的とする委任」の場合に解除するときにも損害賠償義務を負うことになりました。したがって、新民法下では、CM会社がCM契約でCM報酬以外の利益をも目的としていたときに、発注者が解除するとCM会社に対して損害を支払わなければならなくなるので、より任意解除がしにくくなりました。

・この点、現在のCM協会の約款では、発注者が任意解除した場合、旧民法や新民法のような場合だけでなく、一般的にCM会社は発注者に損害賠償請求できることになっているので、新旧両民法よりCM会社に有利な契約になっています。


2.請負契約

①仕事が完成しなかった場合(契約が解除された場合など)でも割合的報酬がもらえることが明確になりました。
旧民法では、仕事が完成しなかった場合でも割合的報酬がもらえるかどうか法文上明確ではありませんでした(ただし、裁判例では認めたものがあります。)。新民法では、この点を明確にしました。

・新民法下では、請負人に帰責事由がある場合でも、割合的報酬がもらえることになります。

・新民法下では、逆に、発注者(注文者も含む。以下同じ)に帰責事由がある場合、原則として、報酬全額を請求できることになっています。

・現在(2020年1月末現在。以下同じ)の民間工事約款(民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款)では、契約当事者のいずれに帰責事由があるか否かを問わず、発注者が出来形部分等を引き受け、それに応じた報酬を清算することになっています。請負人の立場から見れば、請負人に帰責事由がある場合でも割合的報酬がもらえる点は新民法と同じですが、発注者に帰責事由がある場合には報酬全額を請求できない点は新民法より不利です。

②瑕疵担保責任が契約不適合による担保責任に変わりました。
請負契約の目的物に不具合があった場合、旧民法では請負契約の条文で請負契約だけに適用される瑕疵担保責任が規定されていましたが、新民法では基本的に売買契約における契約不適合による責任の規定を準用し、契約の解除や担保責任の存続期間についても契約一般の規定や債権の消滅時効の規定にしたがって処理することになりました。

・契約不適合による担保責任を求める手段は次のとおりです。

1)追完請求権(1次的手段)
発注者は、目的物に不適合がある場合、請負人に対し、⑴目的物の修補、⑵代替物の引渡し又は⑶不足分の引渡しのいずれかを選択して、履行の追完を請求することができます。
これに対し、請負人は、発注者に不相当な負担を課するものでないときは、発注者が選択した追完の方法と異なる方法で履行の追完をすることができます。

2)代金減額請求権(2次的手段)
発注者は、請負人に対して相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたがその期間内に履行の追完がないとき、あるいは請負人が追完を明確に拒絶しているときなどは催告をしないで、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。これにより、例えば、修補工事費相当額を減額して、減額された報酬を請負人に支払い、他の請負人に減額相当額を支払って修補工事をしてもらうということになります。

3)損害賠償請求(並行手段)
発注者は、追完請求権や代金減額請求と同時並行的に、損害が発生しているときは、その賠償を請負人に対して請求することができます。

4)契約の解除(最終手段)
発注者は、請負人B追完請求に応じない場合、その不適合が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、催告をするか、催告をしないで契約を解除できます。

・旧民法では、建物やその他の土地の工作物が仕事の目的物である場合、契約解除ができないことになっていましたが、新民法ではその場合も契約解除ができることになりました。ここは旧民法と新民法で大きく変わった点の一つです。

・新民法下では、不適合が軽微でない場合に発注者が請負契約を解除してしまうと、請負人は工事中の建物やその他の土地の工作物を取り壊すなどして原状復帰しなければなりません。

・この点、現在の民間工事約款では、瑕疵担保責任による解除であっても、出来形等の引き受けや請負代金の清算が行われことになっているので、そのような事態は発生しないような建て付けになっています。しかし、不適合が重大であり建替えをせざるを得ないような場合には、裁判所は発注者に建て替えに要する費用相当額の損害賠償を認める可能性があります(平成14年9月24日最高裁判決)。

5)発注者は契約不適合を知った時から1年以内にその不適合があることを請負人に通知すれば、債権一般の時効消滅期間内は契約不適合の担保責任を求めることができるようになりました。

・旧民法では、引渡又は仕事終了時から1年以内(土地の工作物・地盤は5年、コンクリート造り等の堅固な工作物は10年)に瑕疵担保責任に基づく権利を行使しないとその責任追及ができませんでしたが、新民法では知った時(引渡又は仕事終了時ではない)から1年以内に不適合を通知すれば、債権一般の時効で消滅しない限り、契約不適合の担保責任を求めることができるようになりました。

・新民法では、契約不適合の担保責任に基づく債権も、一般の債権と同様に、権利を行使できることを知った時から5年か、権利を行使することができる時から10年、のいずれか短い期間が経緯した時に消滅することになりました。

・ちなみに現在の民間工事約款での瑕疵担保の期間は次のようになっています。

〇木造建物-引渡から1年

〇石造、金属造、コンクリート造、これらに類する建物-引渡から2年

〇その他の土地の工作物、地盤-引渡から2年

〇建設設備の機器、室内装飾、家具等-発注者等が引渡時に検査して直ちに修補・取り替え請求すること。ただし、隠れた瑕疵については引渡から1年

〇住宅品格法の新築住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分-引渡から10年

③委任契約の自由な解除権(任意解除権)が制約された。

・旧民法では、契約当事者は「相手方に不利な時期に解除した場合」以外は損害賠償義務がないので、発注者は「相手方に不利な時期」でない場合は自己都合による自由な解除ができました。しかし、新民法では、それに加えて、発注者は「受任者の利益(もっぱら報酬を得ることによるものを除く。)を目的とする委任」の場合に解除するときにも損害賠償義務を負うことになりました。したがって、新民法下では、CM会社がCM契約でCM報酬以外の利益をも目的としていたときに、発注者が解除するとCM会社に対して損害を支払わなければならなくなるので、より任意解除がしにくくなりました。

・この点、現在のCM協会の約款では、発注者が任意解除した場合、旧民法や新民法のような場合だけでなく、一般的にCM会社は発注者に損害賠償請求できることになっているので、新旧両民法よりCM会社に有利な契約になっています。


3.その他

①消滅時効
旧民法では、工事の設計、施工、監理を業とする者の工事に関する債権は3年で消滅することになっていましたが、新民法では前記のように5年か10年のいずれか短い期間の経過時に消滅することになりました。

②新民法が適用されるのは、2020年4月1日以降に締結されたCM契約、設計契約、工事監理契約、工事請負契約からであり、それ以前のものは現行民法が適用されます。

③法定利率
旧民法下や旧商法下では、例えば、商事に関する債権が支払期日に支払われなかった場合、たとえ利息や損害金の約束がなくても、遅滞した日数に応じて商事の法定利率である年6%の損害金を請求することができます。新民法下でも同じですが、法定利率は民事も商事一律に年3%に変更されました(ただし、3年ごとに見直されます)。したがって、新民法が適用される取引に関して発生する債権の損害金は年3%になります。


B.改正意匠法で押さえておきたいポイント
1.建築物の外観の意匠権制度の新設

①建築物の外観デザイン(一部は内部も含む)について意匠権が取れることになりました。

・旧意匠法(2020年4月1日で改正される意匠法より前の意匠法。以下同じ)では動産でなければ意匠権を取れませんでしたが、改正意匠法では不動産である「建築物」についても意匠を取れるようになりました。

・これは、極めてデザイン力の高い建築物が多数創作されてきているにもかかわらずその保護が十分ではないとの指摘や、モノのデザインのみならず空間のデザインを重視する観点から建築物のデザインの巧拙は企業収益の獲得にとっても不可欠な要素となっていること、住宅の販売においても消費者の住居に対する美的意識の向上等に伴いその形状、色彩等のデザインを訴求する形で販売活動を行う不動産販売会社も多くなってきていることなどに鑑みて、建築物のデザインについては多額の投資を行ったうえで設計されておりこれらが容易に模倣されるようであればデザイン投資の収縮を招くこととなることから、従来認めていなかった建築物の外観についても意匠権の保護対象としたものです。

・意匠権における建築物は建築基準法の定義等における用語の意よりも広く、建設される物体を指し、土木構造物を含みます。また、通常の使用状態において、内部の形状等が視認されるものについては、内部の形状等も含みます。

・建築物の意匠権を獲得するための主な要件としては次のようなものがあげられています。

1)当該建築物の意匠が工業上利用することのできるものであること。

2)意匠法上の意匠であること。

3)意匠が具体的であること。

4)新規な意匠であること(新規性)。

5)創作が容易でないこと(創作非容易性)。

一般的な建築意匠設計能力がある設計者であれば1)~3)はまず問題はないと思います。問題は4)と5)であり、ありふれたデザインや既存のデザインを組み合わせたり若干の変更を加えたりしたようなものは4)や5)を満たさないとして特許庁が意匠登録を拒絶することになるでしょう。建築物の外観で意匠権を取るためには、新規性と創作非容易性を満たさなければならないので、既存デザインを超えたオリジナリティーのある意匠設計をしなければなりません。


2.内装意匠制度の導入

①建築物の内装デザインについても意匠権が取れることになりました。

・旧意匠法では、同時に使用される複数の物品について組物全体として統一があるときは「組物の意匠」として意匠権を取ることができましたが、建築物の内装のように、動産(家具・什器など)と不動産(建物内部の壁・床など)の組み合わせは「組物の意匠」に該当しないので意匠権を取れませんでした。

・これは、極めてデザイン力の高い内装の意匠が多数創作されてきているにもかかわらずその保護が十分ではないとの指摘や、モノのデザインのみならずコト(経験)のデザインを重視する観点から内装デザインに投資して独創的な意匠を凝らし製品・サービス等の付加価値や競争力を高める事例が見られるようになっていることなどから、家具や什器等の複数の物品等の組合せや配置、壁や床等の装飾等により構成される内装が、全体として統一的な美感を起こさせるような場合に限り、「組物の意匠」として意匠権を認めることにしたものです。

②意匠法上の内装の意匠を構成するためには、次の全ての要件を満たすものでなければならないとされています。

1)店舗、事務所その他の施設の内部であること。
店舗、事務所その他の施設に該当すること。
内部に該当すること。

2)複数の意匠法上の物品、建築物又は画像により構成されるものであること。
意匠法上の物品、建築物又は画像により構成されるものであること。
複数の物品等から構成されるものであること。

3)内装全体として統一的な美感を起こさせるものであること。

③②の3)の「内装全体として統一的な美感を起こさせるもの」の例としては、次のようなものがあげられています。

1)構成物等に共通の形状等の処理がされているもの。

2)構成物等が全体として一つのまとまった形状又は模様を表しているもの。

3)構成物等に観念上の共通性があるもの。

4)構成物等を統一的な秩序に基づいて配置したもの。

5)内装の意匠全体が一つの意匠としての統一的な創作思想に基づき創作されており、全体の形状等が視覚的に一つのまとまりある美感を起こさせるもの。

④改正意匠法に関してCMrにおいて検討すべき対応は次のとおりです。

1)建築物外観や内装デザインの権利化(意匠権登録)

・CM会社が意匠設計や内装デザインを行う場合は、自社で出願して権利化を図るとともに、権利化後の利活用について他のプレイヤー(クライアント、設計事務所、ゼネコン、内装デザ イナーなど)とのライセンス等の利活用契約も締結

・CM会社以外の他のプレイヤー(前同)が意匠設計や内装デザインを行う場合、その権利化を誰が行うかを調整するとともに、権利化後の利活用についてライセンス等の利活用契約も締結

2)他社創作の建築物外観や内装デザインにかかる意匠権との抵触の防止

・他社が意匠権登録した建築物外観や内装デザインの意匠権を事前に調査し、抵触しない意匠設計や内容デザインを構築させること。


3.意匠権の保護期間

建築物の外観の意匠権も内装の意匠権も、意匠権登録を受けると、特許庁に意匠登録の出願をした日から25年間保護されます。現時点での出願から登録までの期間は概ね8カ月程度なので、登録されてから約24年間は意匠登録された建築物の外観や内装のデザインは意匠権者が独占することができます。したがって、意匠権者以外の者が登録デザインと同一・類似のデザインを使用する場合には、意匠権者にライセンス許諾してもらう必要があり、もし無許諾で使用してしまいますと意匠権者から損害賠償だけでなく、工事の変更も余儀なくされるおそれがあります。


4.今後の意匠設計

建築物の外観にせよ、内装にせよ、意匠設計者が既存のデザインには見られないオリジナリティーのあるデザインを創作すれば、その成果として意匠権が付与されることになりました。先程説明したように意匠権は強力な権利なので、建築分野において他の競業者は意匠権登録されたデザインと同一・類似のデザインを無断で使用することができなくなります。つまり、今後の建築関連業界においては、建築意匠において意匠権が付与されるレベルの建築物の外観デザインや内装デザインの創作能力のあるコンペティターが有利になってくることは間違いなさそうです。

以 上


2018.09.19 国交省大阪航空局の委員

国交省大阪航空局の委員を務めていた工事が大阪航空局のサイトに公表されました。


大阪航空局が発注する熊本空港国内線別棟新築工事につき、その工事実施者の選定において熊本空港国内線別棟整備に関する部会が構成されましたが、私もその委員となって公示前、技術審査段階、価格等の交渉段階の3回において意見を述べる機会を与えていただきました。


本工事は、施工者独自のノウハウ等を活用した工法選定や施工計画(仮設等)により仕様を確定する必要があるため、設計段階から施工者独自のノウハウ等を活用する発注方式(技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ))を採用し、技術提案に基づき選定された優先交渉権者と技術協力業務の契約を締結し、別の契約に基づき実施している設計に優先交渉権者の技術提案内容を反映し、目標工期、工事額を算定した上で、価格等の交渉を行い、交渉を成立させたといったものです。技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)は国交省が進める多様な発注方式のひとつであり、近時注目されている発注方式です。


実際にその選定過程に参加させていただいたことで、技術提案・交渉方式が実体験できたことは貴重な経験となりました。


大阪航空局の公表サイト
http://ocab.mlit.go.jp/contract/con_12/


2018.05.10 ホワイトセミナー講習

ホワイトファイルセミナーで講習を行いました。


ホワイトファイルセミナーとは、国土交通省の地域建設産業活性化支援事業として行われているもので、CM方式(コンストラクション・マネジメント方式)・RM方式(リノベーション・マネジメント方式)の普及と、それらの方式を実践できる中小事業者のホワイトリストをファイル化することを目的にしています。つまり、本セミナーを受講することを通じて、建築家・中小建設事業者へのCM方式・RM方式を採用する教育カリキュラムを実践し、健全でかつ質の高いマネジメント方式が日本に普及することを目指しているものです。


詳細については、下記をご覧下さい。
http://white-file.com/


2018.02.26 法令部会パネルディスカッション

一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)関西支部法令部会主催の基調講演とパネルディスカッション「マンション大規模修繕で見えた課題と地域型CMモデル~リノベーション工事や小規模工事におけるCM方式の活用~」がグランフロント大阪で開催されました。


基調講演

基調講演では、私が「マンション大規模修繕の利益相反行為で見えた課題」と題して、近時マンションリフォーム技術協会、国交省、メディアなどで取り上げられている建築コンサルと工事業者による談合、情実選定、キックバックなどの実態と問題点、それが管理組合に与える被害を具体例をあげて指摘しました。また最後に、コンストラクション・マネジャーが参加するCM方式によればそれらの問題点が改善できるのか、CM会社はマンション大規模修繕のようなリノベーション工事をはじめとする小規模工事にも地域型のCMとしてもっと積極的に参入すべきではないかといった点を検討点として提案しました。


続いて、パネルディスカッションでは、相良範浩氏(㈱アクア〔CM会社〕常務執行役員)、生島宣幸氏(㈱日積サーベイ〔積算〕代表取締役・(公社)日本建築積算協会理事・会員委員長)、江口正剛氏(明豊ファシリティワークス㈱〔CM会社〕執行役員第一PM本部長)、岡廣樹氏((一社)日本リノベーション・マネジメント協会会長)、島田鉄也(㈲ビームスコンストラクション〔施工業者〕代表取締役)に登壇いただき、先ほどの問題点や検討点について大いにディスカッションしていただきました。ディスカッションは多岐にわたり、非常に興味深く、参考になる意見も多数出されました。以下、主だったものをあげます。


(1)マンション大規模修繕の利益相反問題では格安コンサル料(赤字)を提示したコンサルが選ばれてしまう点が問題だったのですが、パネラーから「発注者の意識改革が重要であり、CM業務の有効性や効果を十分に理解してフィーを支払う価値を認識していただくために、実例での説明などを通じて実績・経験・専門分野での知識などをアピールしている。また、フィーの算出根拠を詳細な内訳にて提示するようにしている。」といった紹介がありました。
 マンション大規模修繕におけるコンサル選定でも、コンサル側でコンサルフィーを構成する明細とその業務内容(コスト)を具体的に説明することと、管理組合側も入札価格だけでなく、その具体的な説明を聞く、コンサルの実績・評判等の情報を入手する、場合によっては第三者のコンサルの意見も聞くなどして、適正コンサルフィーを提示しているコンサルを選定するといった姿勢が必要だと思います。


基調講演

(2)悪質コンサルの場合、修繕積立金目一杯の工事見積をし、選定工事業者も同様の見積をするといった「過剰見積」が問題となっていますが、これについてはパネラーから「積算士の資格を持った積算者に積算させれば一定程度の精度で数量や予算の算出してくれる」といった提案がありました。
 管理組合としてはコンサルや工事業者から大規模修繕積立金に近い見積が出てきた場合などおかしいなと思う見積の場合には、積算事務所に第三者の立場で積算してもらうことや、マンション大規模修繕に詳しい会社に修繕対象工事の概要となる資料(見積書、設計図など)を見せて本当に今回の大規模修繕に必要な工事に限定されているかどうかを診断してもらった方がいいと思います。


(3)談合、情実選定などの不公正な業者選定については、パネラーから「世の中に公表されている施工会社の売上高の順位表などからその工事に適していない会社を削除したロングリストというものを作り、その中から発注者のご意見をお聞きして絞り込み、各社に受注の意思があるかをCM会社が確認していくことが多い。民間企業では『最終どこに声をかけるか』を極秘にするために、ごく一部の上層部の方しか知らされないようにする。
 たとえお客様紹介の施工者が参加することになったとしても『入札期間中は接点を持たない』ことを徹底してもらう。入札金額が他の施工者に漏れないようにする方法として、敢えて同日着の郵送としてもらい、発注者とCM会社が立ち会った上で開封を行うようにしている。通常はビデオ録画まで行なう。」という紹介がありました。マンション大規模修繕では入札条件を調整することで協力業者以外の工事業者を参入できないようにしているということが明らかになっていますが、入札条件について管理組合はコンサルに任せきりにすることはしないで、技能がある専門工事業者であれば広く参加できるような入札条件を設定させるといった工夫が必要でしょう。
時間と手間はかかりますが、まず技能のある専門工事業者であればだれでも参加できる条件で第1次入札を行ってロングリストを作り、そこからコンサルの意見を聞いてショートリストを作成し、第2次入札を行って選定するといった方法もいいかもしれません。悪質コンサルであればそのような入札方式に反対するでしょうし、仮に賛成してもロングリストからショートリストに絞り込む際の説明に窮すると思います。


基調講演

(4)悪質コンサルの場合、工事業者からキックバックをもらっているため監理が甘くなるという問題がありますが、この点についてはパネラーから「CMrは、発注者側の主体。発注者・施工者・設計者・工事監理者はホットグループに属するが、CMrはコールドグループに属する。冷静に全体を俯瞰することによって、工事監理だけではなく、工事の品質についてもチェックすることができる。」といった指摘がありました。基本的にマンション大規模修繕におけるコンサルの使命もCMrの役割と共通していますので、CMrがコンサルとして参入すれば、CMは発注者の立場に立って行うという観点から、このような杜撰な監理を防ぐことが可能になります。


(5)悪質コンサルのキックバックは古くからあるマンション大規模修繕の悪弊ですが、パネラーからは「弊社もデザイン住宅で有名なある設計事務所から営業代として工事金額の一割を納めることを条件に仕事の依頼があったが、弊社はこれを断った。発注者にとってキックバックは建設業界の闇の部分そのものであり、業界として根絶すべきものであると思う。必要悪とも思えない。小規模建築物ではこのような事例が後を立たない。少なくとも川上側の人がこのようなことを行っていくと、建設業界の信頼どころか、不信感を増幅させる一因になってしまう。小規模であっても、CM方式に於いて、透明性を担保すべきでオープンブックを採用すると効果がある。」といった発言がありました。
このような毅然とした対応をする施工業者が増えてゆけば健全化が進みますが、他方でオープンブック(コンサルと工事業者間、各工事業者間の資金の流れ等の情報を管理組合に開示すること)による透明化や、キックバックをコンサル契約や工事請負契約で禁止するといった方法も役立つでしょう。


(6)最後に地域型CMとしてのリノベーション工事や小規模工事についての実例をパネラーからご紹介いただきました。マンション大規模修繕への実例はまだまだ少ないですが日本RM協会の会員が中心となって実績をあげています。それ以外では。オフィスビルや商業施設の改修工事、大学の学舎整備、ホテルのリノベーション工事、既存建物のリニューアル・リノベーション工事、また町の自治会館の修繕工事なども紹介されました。実際にはまだまだ注目されていませんが、地域型CMとしても十分実施可能なリノベーション工事・小規模工事のCMも今後はもっと発展していってもいいと思います。


当日は、約50名程度の参加を得て盛況に行われました。
最後に、古阪秀三先生(立命館大学OIC総合研究機構グローバルMOT研究センター・客員教授。元京都大学大学院工学研究科建築学専攻・教授)に今回の利益相反問題と建築業界について貴重なご意見を賜りました。

2018年2月26日 マンション大規模修繕に必要な倫理(PDF 0.3MB)


2018.02.17 価格開示方式監理技術者養成に係る講習

一般社団法人日本リノベーション・マネジメント協会(日本RM協会)主催の「価格開示方式主任・監理技術者講習」が、2月3日から2月17日かけて鹿島建設㈱関西支社で開催され、私も2月7日に「監理技術者の基本的知識 価格開示方式の倫理」について講習を行いました。


2018年2月17日 価格開示方式管理技術者養成講習(PDF 0.2MB)


「価格開示方式主任技術者」及び「価格開示方式監理技術者」は、ともに価格開示方式によ る工事等に係る統括工事マネジメント知識や技術に習熟した者を認定資格者として認定することで、透明性の確保・質の維持・向上を図るという目的のもとに日本RM協会が平成29年度に創設した資格制度です。
受講者は本講習を受講し終了考査で合格することでそれらの資格を取得することができます。


ご興味のある方は、下記サイトをご覧ください。
http://www.rma-j.or.jp/


2017.12.02 神戸中央マンション交流会で講演しました。

私が日本全国でマンション大規模修繕工事についての倫理講演をしていた関係で、神戸中央マンション交流会から講演を依頼され、去る12月2日に、新大阪のニューオオサカホテルで開かれた管理組合向けのセミナーで「マンション大規模修繕工事に必要な倫理」の講演を行いました。


同セミナーは、国交省近畿地方整備局、大阪市マンション管理支援機構、マンション管理センターの後援、関西分譲住宅仕上業協同組合協賛で開かれたもので、国交省近畿地方整備局の西村住宅整備課長が「最近のマンション政策について」でマンション管理に関するさまざまな情報についてご講演された後、私が昨年からにわかに国やマスメディア等で取り上がられるようになった悪質コンサルの利益相反行為の実態とその対策について講演し、最後に交流会、建築士、建築設計事業協同組合、管理組合、関西分譲住宅仕上業協同組合及び私らがパネリストとなって「適正で透明なマンション大規模修繕工事に求められるもの!」と題してパネルディスカッションを行いました。会場には193名もの多数の方々が詰めかけられ、満員盛況でした。


今回の講演は、基礎編の「RM契約・契約約款」です。この講座は、私が監修し共同で著作した日本リノベーション・マネジメント協会が発行した「マンション大規模修繕の業務約款・業務委託書・工事約款及び解説」(鹿島出版会)のうちのRM業務委託契約約款、業務委託書、及びRM細則の骨子をわかりやすく解説するものです。


今後もこのような大規模修繕工事に関する利益相反行為の是正、健全化に向けての動きが活発化することを期待します。

マンション管理組合、マンション住民のための特別セミナー(PDF 0.6MB)


2017.11.02 ホワイトファイルセミナーで講演を行いました。

今回で同セミナーでの講演は5回目です。


ホワイトファイルセミナーについては、2017.02.09の活動報告をご参照下さい。また、ホワイトファイル事業やホワイトファイルセミナーの詳しい内容は下記をご覧下さい。
http://white-file.com/


今回の講演は、基礎編の「RM契約・契約約款」です。この講座は、私が監修し共同で著作した日本リノベーション・マネジメント協会が発行した「マンション大規模修繕の業務約款・業務委託書・工事約款及び解説」(鹿島出版会)のうちのRM業務委託契約約款、業務委託書、及びRM細則の骨子をわかりやすく解説するものです。


展開編の「建築マネジメントと法律」は、2018年5月10日に行います。


2017.09.14 阪急設計コンサルタントでコンプライアンス研修の講師をしました。

阪急設計コンサルタント株式会社(本社:大阪)において、「コンプライアンスと企業倫理」という演題で、建築に焦点を当てたコンプライアンスの研修を行いました。


阪急設計コンサルタント(HSC)は阪急阪神ホールディングス(HHHD)グループに属する建設コンサルタント、建築設計事務所で、主にグループの鉄道部門、物流部門、エンターテイメント部門の土木、建築、設備の設計や設計コンサルタントを行う会社です。


HHHD全体のコンプライアンスついては、既にその体制が構築され、グループ全体での研修やコンプライアンス・マニュアルなども作成されていますが、HSCではさらに建築分野に特化したコンプライアンスの徹底が必要であるとの認識の下で、今回の研修を実施することになりました。


コンプライアンス研修

当日は、HSCの社長をはじめとする役職員合計60名の方が参加されました。
研修は、①コンプライアンスの基本的な理解、②失敗の実例、③建築分野におけるコンプライアンスのクエスチョンに分け、全体で1時間程度の研修を行いました。
①では、コンプライアンスの意義、HHHD全体のコンプライアンスの確認といった基本的なところを押さえ、②で技術系分野の企業におけるコンプライアンス経営の失敗実例を紹介し、参加者に失敗の原因はどこにあったか、どの時点でどのように対応するべきであったかといった点を議論していただきました。③は、建築士の倫理教材や昨今問題となっている設計コンサルの利益相反行為を題材にしたクエスチョンを出題し、技術者である参加者に議論していただき、あるべき技術者のコンプライアンスや企業倫理を見つけだしていただきました。


昨今、国内だけでなく世界でも著名な日本企業の不祥事が相次ぎ、その社会的信用が大きく毀損されるばかりか、事業継続が困難なため経営危機に陥る例も少なくありません。その多くは、コンプライアンス経営が実践できていなかったことも原因しています。その意味で、今回HSCがHHHD全体のコンプライアンスに加えて、専門的分野におけるコンプライアンス研修を実施されたのは適切な対応であったと思います。

2017年9月14日 コンプライアンスと企業倫理(一部)(PDF 0.2MB)


2017.08.06 2017年度のCMガイドブック講習会の講師をしました。

一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)では、毎年CMガイドブック講習会を開催しています。


関西では、去る7月30日と8月6日の2日の両日に渡って、計670分(約11時間)を使って、CMの概要、CMの業務体系、CM法律問題、問題解決手法について、実際にCM会社などに所属しCM業務に精通している講師が講習を行いました。
 CM業務の内容を紹介する書籍としては日本CM協会が発行している「CMガイドブック〔改訂版〕」(相模書房)が大変充実しています。今回の講習もこれをテキストにしていました。


私は、2日目の「CM法律問題」を担当し、次のような話をしました。


まず、前半に基礎編としてCM契約とCMRの法的責任の概要を説明しました。CM契約は基本的に準委任契約であって請負契約ではありませんし、CMRの役割は本来発注者が担うべきプロジェクト全体のマネジメントを補完するところにありますが、この契約の基本的性格やCMRの役割をきちんと理解しないままCM契約を取り交わしている実例が多いようです。そうなるとCMRが受託した業務範囲があいまいになりますし、他の設計者、施工者、工事監理者といったプレーヤーとの役割分担や業務範囲との関係も不明瞭になってしまい、想定外のリーガルリスクを背負う結果につながりかねません。このようなリーガルリスクをヘッジするために最低限必要なCM契約の概論を説明しました。


後半には実践編として実際に問題になった2つのトラブル事例をあげてその問題点と解決手法を説明しました。ひとつは設計図書の設計ミスから追加工事費が発生したので、発注者がその設計ミスを防止できなかったのはCMRの責任であると言ってきたケースです。もうひとつはCMRが施工図の不備を指摘し参考図を示したところ、その参考図に沿った施工がなされた結果、設計図書と整合しない施工となったことからCMRの責任が問題になったケースです。いずれも、基礎編で説明した考え方をベースにした解決手法を用いて回答を説明しました。

2017年8月6日 CMの法律問題(一部)(PDF 0.3MB)


2017.05.27 RMAJ 2017年度第1回の倫理セミナーで講演しました。

去る5月27日に、(一社)日本リノベーション・マネジメント協会(RMAJ)が主催する本年度第1回の倫理セミナーが東京で開催され、下記の演題で講演しました。


       「マンション代金簿修繕工事に必要な倫理」
       今こそ求められるマンション大規模修繕工事の透明化とは何か!
       大規模修繕から不正行為を排除しよう!


内容は、スライド資料の2頁あるように、マンション大規模修繕工事の概要と工事の各段階において気になることをお話ししたうえ、近時国交省やメディアで取り上げられている管理会社、コンサルティング、工事業者の不正行為(談合、情実選考、リベート・キックバック等)の実態を紹介し、管理組合として不正行為排除に向けた具体的取り組み策を提言するものです。会場はほぼ満杯で、参加された多数の管理組合の方々からも活発が質問や意見が出され、充実したセミナーとなりました。


今後も同様のセミナーが福岡(6月17日)と大阪(7月8日)でも開催されますので、ご関心のある方はぜひご参加下さい。

マンション代金簿修繕工事に必要な倫理(PDF 0.3MB)


2017.05.09 RMAJ 倫理セミナーのご案内

本年度も、一般社団法人日本リノベーション・マネジメント協会(RMAJ)が主催する倫理セミナーが、東京、福岡、大阪で開催されます。
この倫理セミナーで取り上げるのは、近時において殊に明らかになってきたマンション大規模修繕工事における談合やリベートといった不正行為の実態を知り、それらを排除し、透明性の高い工事を実施することで、健全な大規模修繕を実施するためには、どのような点に注意すればよいのか、どのような方策を講じるべきかといった点です。
いずれも無料ですので、ご関心のある方はぜひご参加いただければと存じます。


東京 平成29年5月27日(土)13:30~16:30
   東京都中央区京橋1-6-1 三井住友海上テプコビル6階
   住宅あんしん保証株式会社 会議室
福岡 平成29年6月17日(土)13:30~16:30
   福岡市博多区吉塚本町9-15
   福岡県中小企業振興センター302号会議室
大阪 平成29年7月8日(土)13:30~16:30
   大阪市中央区北浜3-2-25 京阪淀屋橋ビル3F・4F
   AP大阪淀屋橋 南A会議室

RMAJ無料セミナー 2017 Vol.1(PDF 0.4MB)


2017.04.23 CMスクールで講演しました。

4月23日に、一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(CMAJ)が東京で主催するCM(コンストラクション・マネジメント)スクールで講師をしました。
このCMスクールは、既にコンストラクション・マネジャー(CMr)をしている方や、これからCM に取り組もうとする方を対象にして、CMの知識や技術を学ぶ場で、おそらくCMrの基本的な実務的スキルを身につけるには日本では最適のものと思います。


2016年度のスクールの内容は、次のようなものです。
 第1講座 CMrのためのプロジェクトフレームワーク演習
 第2講座 プログラミングとデザイン・マネジメント実践演習
 第3講座 実務者のためのコスト・マネジメント 
 第4講座 よくわかるCM業務提案術
 第5講座 CMrのための発注戦略と仮設工程計画
 第6講座 CMrのためのLCMと設備計画
 第7講座 使えるCMrの法的知識と契約管理術
 第8講座 CMrの人を動かすリーダーシップとコーチング演習


私は、第6講座のうちの後半の「CMrの法的責任」を担当しました。

2017年4月23日 CMrの法的責任(PDF 0.3MB)


CMスクールの詳細は、下記をご覧ください。
http://www.cmaj.org/index.php/2016-cm


残念ながら2016年度の講習は、5月28日(日)開催の第8講座のみとなっておりますが、その講座だけの受講もできますので、ご関心のある方は、お申し込みください。


2017.04.17 ホワイトファイルセミナー講演

ホワイトファイルセミナーで講演を行いました。


ホワイトファイルセミナーについては、2017.02.09の活動報告で述べたとおりです。
今回の講演は、展開編の「建築マネジメントと法律」です。基礎編の「RM契約・契約約款」と併せて、それぞれ2回開催しました。徐々にですが、私の講演を通じて、コンストラクション・マネジメントの手法を生かしたより発注者視線の建築プロジェクトが浸透していけばと思います。


当日で2016年度のホワイトファイルセミナーは終了しました。


2017年度も開講しますので、ご関心のある方は、ふるって受講していただければと思います。


2017.02.09 ホワイトファイルセミナーで講演を行いました。

2016年9月に国土交通省・一般財団法人建設業振興基金「地域建設産業活性化支援事業」におけるステップアップ支援事業として採択されたホワイトファイル事業〈※1)の「ホワイトファイルセミナー」が同年10月から始まっています。
このセミナーは、日本リノベーション・マネジメント協会と有限会社ビームスコンストラクションが連携して主催するもので、中小建設業者・専門工事業者・小規模設計事務所を対象に、オープンブック方式・CM/RM方式や経営を講習などで学ぶ場を提供するとともに、優良事業者のリスト化(ホワイトファイル)も目指しています。


ホワイトファイナルセミナー講演

私は、このセミナーで基礎編の「RM契約・契約約款」と展開編の「建築マネジメントと法律」の講習をしています。
「RM契約・契約約款」はリノベーション・マネジメント契約(RM契約)の基本的理解を日本リノベーション・マネジメント協会(RM協会)の契約モデルを使って修得することを目指した講習です。また、「建築マネジメントと法律」はコンストラクション・マネジメント(CM)におけるコンストラクション・マネジャー(CMr)の役割と法的責任をケーススタディーで学ぶ講習です。
セミナーの講習内容は多岐に渡っており、基本的な建築精算システムの概要を把握でき、かつ新しい建築手法であるCMやRMも修得できるものとなっています(※2)。

RM契約・契約約款(PDF 0.2MB)
建築マネジメントと法律(PDF 0.5MB)


※1 「ホワイトファイル事業」の概要については下記をご参照ください。
   http://white-file.com/
※2 「ホワイトファイルセミナー」の内容については下記をご参照ください。
   http://white-file.com/seminar


2017.02.07 マンション管理組合の方々へ

これまで何度かマンション大規模修繕における不正行為(談合、キックバック等)の問題を講演で取り上げてきました(本ページの平成27年10月24日講演「マンション大規模修繕に必要な倫理」ご参照)。
これは大規模修繕工事におけるコンサル(設計事務所)、管理会社等と施工会社間における不透明な資金のやりとり、それによって食い物にされる管理組合の問題を取り上げることによって、不正行為を撲滅し、より透明性の高い健全な大規模修繕を実施してもらおうという狙いからでした。


週刊ダイヤモンド

今般、このような不正行為問題が「週刊ダイヤモンド」(2017年 2/4 号 上げ下げマンション大調査)の下記の記事で取り上げられました。


「Part4 業者に騙されないマンション管理と大規模修繕」/「リベートから談合まで知られざる大規模修繕の闇」


ここでは、大規模修繕における設計コンサルや管理会社が主導あるいは関与する談合、設計コンサルや管理会社が工事業者から取るリベート、不公正な業者選定方法、設計コンサルの監理偽装、工事業者による設計コンサル幹部の接待などが取り上げられています。


また、本年1月27日には、国交省住宅局と土地・建設産業局が、下記をマンション管理センターなど4団体に通知しています。

国土交通省の通知(PDF 0.13MB)


ここでは、実際に調査診断・設計等をしていたのは委託した設計コンサルではなく施工会社の社員であったケース、設計会社が施工会社の選定作業において候補者5社のうちの特定1社だけに少ない数量の工事内容を伝えることで見積金額を低く抑え、同社を内定させたケース、コンサルがバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作等を行ったケースが紹介されています。


以上、マンションの管理組合の方々にとってご参考になると思いますので、ご紹介致します。


2016.09.28 RM協会主催フォーラムのご案内

4月23日に大阪で、5月15日に東京で開催された、RM協会主催のフォーラムで行った講演「マンション大規模修繕に必要な倫理」が、日本リノベーション・マネジメント協会の季刊誌「リマージュ」のVol.7に掲載されました。

RM協会 季刊誌「リマージュ」Vol.7(PDF 2.6MB)


 名称:第2回 マンション大規模修繕に必要な倫理について
 日時:2016年10月15日(土)13:30~
 会場:東京都中央区京橋1-6-1 三井住友海上テプコビル6階
    住友あんしん保証(株)会議室
 主催:一般社団法人 日本リノベーション・マネジメント協会


2015.10.24 大阪と東京で管理組合向けRMAJフォーラムで講演を行いました。

2015管理組合向けRMAJフォーラム

10月12日に2015年第2回RMAJ関西支部フォーラムと、10月24日に2015年第2回RMAJ関東支部フォーラムで特別講演を行いました。


一般社団法人日本リノベーション・マネジメント協会(日本RM協会)では、2015年秋のフォーラムを関東支部と関西支部でそれぞれ4回に渡って開催しています。

ちなみに関東支部のフォーラムの内容は下記のパンフレットのとおりです。

「関東支部 管理組合向けRMAJフォーラム」ご案内(PDF 0.3MB)

space

私は、第2回のフォーラムで日本RM協会の岡会長とともに認定マンション・リノベーション・マネジャー(CCRMJ)の倫理について講演を行いました。この第2回のフォーラムではCCRMJの資格を取得された方の資格者証授与式もあわせて行われました。CCRMJとはRM協会が認定したマンション大規模修繕工事に特化したコンストラクション・マネジャー(CMR)の資格です。
日本RM協会は本年7月に東京と大阪の会場で4日間、合計約24時間に及ぶマンション大規模修繕プロジェクトにおけるCMRの講習会を開催しましたが、その結果、本年度に71名の方がCCRMJに認定されました。
私の講演は、このCCRMJの倫理についてであり、具体的にはマンション大規模修繕プロジェクトにおいて横行しているといわれる談合その他の不正行為の実態と、その抑止、撲滅に向けてCCRMJが行わなければならない取り組みについて倫理面や法律面から説明し、加えてRM協会が押し進める価格開示方式の実践により、管理組合にとってベストな大規模修繕工事を実現しようというものです。
当日は、CCRMJの方以外に、管理組合の方、マンション管理技師の方、さらにはメディアの方なども参加され、RM協会が押し進める価格開示方式によるマンション大規模修繕が徐々に浸透してきているということを実感しました。

2015年10月24日 マンション大規模修繕に必要な倫理(一部)(PDF 0.3MB)


2015.08.02 2015年度のCMガイドブック講習会の講師をしました。

一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)では、毎年CMガイドブック講習会を開催しています。


関西では、去る8月1日と2日の両日に渡って、計660分(11時間)を使って、CMの概要、CMの業務体系、CM法律問題、問題解決手法について、CM会社などに勤務するなどしてCM業務に精通している講師が講習を行いました。
 CM業務の内容を紹介する書籍としては日本CM協会が発行している「CMガイドブック」(相模書房)が大変充実しています。今回の講習もこれをテキストにしていました。
私は、2日目の「CM法律問題」で、CMRの法的責任、CM契約概要を説明しました。 私が著作した「建築のプロが悩むCM法律問題Q&A」(大成出版)もテキストに加えて頂き、講習ではその中からトラブルの実例を挙げてCMRの法的な注意点を指摘しました。また、このガイドブック講習会で私が最も興味をかき立てられるのは最後に行われる「問題解決手法」です。これはCM業務を行ううえで実際に遭遇しそうなケースを取り上げ、CMRとしてどのようなマネジメントをしてゆくかをグループごとに提案させ、受講生全員で議論してゆくことでCMRとしての発想力、判断力を涵養させるといったものです。
今回のケースもなかなか面白く、私自身もCMRであればこの点を取り上げて、このようにマネジメントしてゆけばよいのではないかとあれこれ考え、後で受講生や講師の意見を聞くことでなるほどと思うことが多々ありました。

2015年7月14日 CMの法律問題(一部)(PDF 0.2MB)


2015.07.29 2015年度認定RMr養成講習で講師をしました。

7月14日と7月29日に、2015年度認定マンション・リノベーション・マネージャー養成講習で講師をしました。


一般社団法人日本リノベーション・マネジメント協会(日本RM協会)では、本年度よりマンション大規模修繕プロジェクトにおけるCM(コンストラクション・マネジメント)のプロフェッショナルを養成するため、マンション・リノベーション・マネージャー(RMr)養成講習を開催することになりました。
講習は大阪会場(7月14日)と東京会場(7月29日)でそれぞれ4日間、計1420分(約24時間)を使って、CM講習(CMの概要とフェースごとのCM業務内容、アットリスクCM)、マンション管理(大規模修繕、管理組合のプロジェクト運営、管理組合会計、コスト、長期修繕計画)、RM講習(RMの概要、Q&A、RM契約、設計監理・工事請負契約、工事標準仕様書、フェースごとのRM業務内容)に分けて、RM業務の知識、ノウハウ等を修得させるものです。

講習を受講して終了考査で合格すればRM協会が認定する認定RMRの資格を取得できます。


私は、3日目のRM講習でRM契約について、私が監修した「マンション大規模修繕の業務約款・業務委託書・工事約款及び同解説: 価格開示方式(RM方式)・設計監理方式・責任施工方式」(鹿島出版会)を使って講習を行いました。
受講生は大阪、東京を会わせて約70名ほどでした。
今後は、認定RMrの方が参画することで、よりよいマンション大規模修繕プロジェクトが遂行されてゆくことを期待します。

2015年7月14日 認定マンションRM養成講習(一部)(PDF 0.3MB)


2014.11.16 2014年度CMスクールで講演しました。

2014CMスクール講演

2012年度、2013年度に引き続き、2014年度も一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)のCMスクールで講演しました。


2014年度のCMスクールは2014年10月に開講し、2015年5月まで、月1回のペースで計8講座が開講されることになっています。私が担当した第3講座は「CMrのリスクコントロール術」というもので、私は午後から「CMrの法的責任」について講演しました。


演題自体は昨年度と同じですが、受講生のほとんどが法務関係の方でないことから、第1部の座学ではCMrの基本的な法律関係をわかりやすく説明しました。第2部のワークショップは、実際に生起したCMの法律問題を取り上げて、グループ討論して頂き、検討結果を各グループ毎に発表してもらったうえで、私が解説をするという形式で行うものです。
今回はアットリスク型CMの問題点、マスタースケジュールにおける善管注意義務、設計段階の工事概算についての善管注意義務を取り上げました。これまでに比べ第1部での説明を簡潔で判りやすいものにした関係からか、ワークショップでの議論では考え方の基本的なところを理解できている受講生が多かったように思います。


2014.05.18 2013年度CMスクールで講演しました。

2013CMスクール講演

一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会(日本CM協会)は、毎年CMスクールを開校しています。
2013年度のCMスクールは2013年9月から開講し、月1回のペースで計9講座を開講しました。私も、2014年5月18日に開講された第9講座「CMrのリスク管理術」の後半において「CMrの法的責任」について講演しました。


本年度のCMスクールは例年に増して受講者が集まり、私の講座の参加者は若干の欠席者がありましたものの26名でした。前年度と同様に、第1部でCMrの基本的な法律知識を紹介し、第2部のワークショップでは3問の仮想事例について受講者に議論してもらいました。5グループに分かれて、グループ毎に議論して頂き、検討結果を各グループ毎に発表してもらったうえで、私が解説をするという形式で行いました。
専門は建築等で法律には明るくない方々でしたが、それなりによく検討され、私が思いつかないような指摘があったのが新鮮でした。


2014.02.26 建築設計における著作権とCM

建設設計における著作権とCM

竹中工務店大阪本店において、一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会関西支部法令部会主催による勉強会が開催され、弁護士・弁理士釜田佳孝が「建築設計における著作権とCM」と題して講演を行いました。


講演では、設計図書や建築物についての著作権の裁判例を紹介し、設計者における著作権の理解を深めるとともに、建築設計における知的財産権の活用を啓発し、最後にコンストラクション・マネ-ジャーとしては建築設計における著作権や知的財産権とどう取り組むかについて議論を行いました。

2014年2月26日 建築設計における著作権とCM(PDF 2.02MB)